配線およびケーブルのコンポーネントや化合物の安全性と性能を評価する
配線およびケーブル製品に使用される化合物は、製品全体の性能に影響を与える可能性があります。UL Solutionsの信頼性の高いプラスチック材料認証プログラムの一環として、当社の配線およびケーブル材料認証プログラムでは、材料を適用規格に照らして評価することにより、お客様から信頼を得ています。ULレコグナイズド・コンポーネントを使用することで、認証によっては追加の材料試験が不要になり、時間とコストの削減が期待できます。
当社の配線およびケーブル材料認証プログラムは、以下のカテゴリーに属する化合物を認証します。
- QMTT2: 配線およびケーブルとフレキシブル照明器具に使用される高分子材料
- QMTM2: プレナムケーブル用化合物
- QMTN2: 機器内配線用電線に使用される高分子材料
- AATJ2: 燃焼材料の酸性ガス、酸性、伝導性およびハロゲンの評価
- TEPZ2: 配線およびケーブルのコンポーネントに使用される使用制限物質
各カテゴリーに含まれる材料と化合物の全リストは、UL Product iQ®をご参照ください。
UL Solutionsの 配線およびケーブル材料認証プログラムがもたらす効果
当社の配線およびケーブル材料認証プログラムでは、業界の専門家が適合要件やプロジェクトの仕様に合わせた配線およびケーブルの化合物や材料を迅速に調達・指定できるよう支援します。ULコンポーネント認証マークは、性能に関する特性を顧客に伝える際や、化合物のコンポーネントがお客様のニーズに合っているかどうかを判断する際にご利用いただけます。
ULコンポーネント認証マークで識別できるULレコグナイズド・コンポーネントを使用することで、以下の職務における時間短縮とコスト削減が期待できます。
- カード製造者
- 製品の設計者
- 調達エンジニア
- コンプライアンスディレクター
- 仕様書作成者
このプログラムを通じて評価を受けた場合、お客様は既存および潜在的な顧客に対して、製品の安全性と品質をアピールすることができます。プラスチック材料認証プログラムで評価された製品は、Product iQデータベースに登録され、多くの設計者、エンジニア、サプライヤーが認定済みの材料や部品の提供者を探す際に活用されます。
QMTT2: 熱可塑性樹脂の評価
QMTT2に分類される高分子材料は、ワイヤー、配線、フレキシブル照明製品に使用されています。UL認証試験のなかで、化合物の経年変化の有無を評価する各種識別試験を行っています。
QMTT2熱可塑性材料を使用している製品
QMTT2に分類される熱可塑性材料は、通常、屋外での使用を想定しています。これらの材料を使用した最終製品には以下が含まれます
- 電源コード:通常、型式表示の末尾にWが付いており、フレキシブルコードおよびケーブルの規格であるUL 62に準拠して試験されます
- 屋外、湿気の多い場所、油やガソリンにさらされる場所で使用される建築用電線:熱可塑性絶縁電線およびケーブルの規格であるUL 83に準拠して試験されています
- 以下に使用されるようなエチレン-プロピレン連続加硫成形(EPCV)やクロスリンク(XL)高分子などの熱硬化性材料
- 熱硬化性絶縁配線:熱硬化性絶縁配線およびケーブルの規格であるUL 44に準拠して試験されています
- 熱硬化性絶縁導体を使用したケーブル:サービスエントランスケーブルの規格であるUL 854に準拠して試験されています
- 太陽光発電用ケーブル:太陽光発電用配線の規格であるUL 4703に準拠して試験されています
その他のケーブルタイプでもQMTT2化合物を使用することができます。
QMTT2認証済み化合物を使用する場合、完成品ケーブルに対する認証時に特定の試験を省略することができます。省略される試験は以下の通りです。
- 耐日光性
- 水中での長期絶縁抵抗
- 耐油性
- 耐ガソリン性
QMTM2: プレナムケーブル用化合物の評価
QMTM2に分類される化合物は、プレナム定格ケーブルの製造に使用されます。当社は化合物の組成を分析しますが、完成品ケーブル製品の安全性や性能の試験は行っていません。
NFPA 262「空気取り扱い空間での配線およびケーブルの炎の伝播性と煙の発生量の試験方法」では、シースと絶縁体/バッファ層の組成特性分析が義務付けられています。プレナム定格ケーブルの製造にQMTM2認証済み材料を選択した場合、完成品ケーブルの認証プロセスで組成識別作業を行う必要がなくなります。
化合物の特性評価に関する試験適用範囲
材料に応じて、以下のような試験を1つ以上行い、化合物の特徴を把握します。
- 赤外(IR)定性分析
- 熱重量分析(TGA)
- 誘導結合プラズマ(ICP)
- 原子吸光(AA)分光法
- 塩素/臭素の含有量
- 示差走査熱量測定法(DSC)
- 溶融流れ
- 比重(SG)
QMTN2: 機器内配線用電線に用いられる高分子材料の評価
機器内配線用電線(AWM)に使用される高分子材料で、該当するUL 758機器内配線用電線(AWM)規格の試験に合格したものは、QMTN2認証済み材料として識別することができます。QMTN2化合物を使用したAWMは、正しく成形されれば、UL 758「機器内配線用電線材料規格」の認証要件を満たすことになります。
QMTN2化合物の使用により、試験プログラムが軽減されることはありません。ただし、市販の化合物を使用する配線製造者は、QMTN2とAVLV2ファイルを同時に申請することができます。UL Solutionsの評価を通過すると、1つのテストプログラムで2つの認証が取得できます。
AATJ2: 可燃物中のハロゲン含有量の評価
このプログラムは、UL 2885「燃焼材料の酸性ガス、酸性、伝導性およびハロゲンの評価」に基づき、配線およびケーブルの構成材料中にあるハロゲン含有量を評価するものです。ケーブルが、絶縁体、充填剤、ジャケットなど、すべてハロゲンフリーの可燃性材料で構成されている場合、そのケーブルの表面マークには、末尾に「-HF」と記載することができます。
TEPZ2: RoHS規制物質の有無の評価
本プログラムは、ケーブルの全構成部品に含まれる有害物質制限指令(RoHS)規制物質の有無を評価するプログラムです。非金属コンポーネントについてはUL 746R「高分子材料中の使用制限物質の調査概要」、金属コンポーネントについてはUL 1368「金属部品中の使用制限物質の調査概要」に準拠しています。
これらの化合物やコンポーネントは、レコグナイズド・コンポーネント・カテゴリーTEPZ2の対象です。「-RoHS」のマークが付いたUL認証の配線およびケーブルは、これらのレコグナイズド・コンポーネントを使用して製造されています。主なコンポーネント:
- 絶縁体・ジャケット素材
- フィラー
- テープ
- 金属導体、アーマー、Shield
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